Le Figaro
- 二つの流れ
- 炭鉱組曲
- 固定観念
1926年11月3日付のフィガロ紙は、一面に経済論説と二つの文芸作品を並べた。リュシアン・ロミエは、旧来の貯蓄が免税の国庫証券へ戻る流れと、物価上昇で銀行券の流通が増える流れが、いまは一時的に釣り合っているにすぎないと論じた。ロミエは、どちらかの流れが勝てば、春の商業恐慌か、インフレーションへの逆戻りのどちらかが起きると警告した。アンドレ・モーロワは、煙突が煙を吐かずサッカー場だけがにぎわうストライキ中のノーサンバーランド炭鉱地帯を描いた。モーロワの作品に登場する技師は、大陸通貨の下落のせいで英国の石炭は採掘費が高くなりすぎたと語った。ユーグ・ドロルムは、薬剤師オメー氏の心に毒殺者が眠っていると想像する風刺詩を寄せた。
翻訳
二つの流れ
こうして現在、国民経済のなかには、まったく相反する二つの流れが存在している。第一の流れは、旧来の貯蓄が国庫証券へ戻ってくる動きと重なっている。国庫証券は税が免除されるため、有利な投資先とみなされているのである。第二の流れは逆の方向に働き、物価の上昇によって、ますます多くの銀行券を流通へ引き込んでいる。この二つの流れは現在のところ釣り合っており、互いに打ち消し合うことで、われわれに平穏をもたらしている。しかし、どう見てもこの均衡は一時的なものである。いずれか一方が勝つだろう。貯蓄の流れが勝てば、われわれは春に商業恐慌に見舞われる。経済活動と物価上昇の流れが勝てば、われわれは再びインフレーションに陥る[?]
リュシアン・ロミエ
炭鉱組曲
ノーサンバーランド。ベチューヌかランスのような風景を、コンスタブルが手直ししたもの。地平線には「石炭のしるし」が並ぶ。車輪を頂いた黒い三角形、煙突、斜面が急すぎて頂の平らな人工の丘。だが手前では、黄ばみはじめた木々のあいだを美しい川が流れ、大きな牛たちがその浅瀬を渡っていく。煙突は煙を吐いていない。炭鉱夫たちはストライキ中なのだ。深い静けさ。警官はいない。デモ行進もない。ただ数えきれないほどのサッカー場だけが選手で埋まり、観客に囲まれている。
技師「原因ですか、ムッシュー? 複雑ですよ。大陸諸国の通貨が下落したせいで、こちらの賃金と他国の賃金とのあいだに大きな開きが生じたのです。わが国の石炭は掘り出すのに金がかかりすぎるのです」
アンドレ・モーロワ
固定観念
真紅の曙のもと
嵐が峰々をうかがうように、
陰険なボルジアが眠っている、
オメー氏の胸のうちに。
薄紫の光を放つ瓶のそばで
マシュマロの練り薬をこねるとき、
あるいは塗り薬をいじくりまわすとき、
暗い妄執が彼にとりつく、
何か邪悪な仕業をなしとげたいと。
そしてそれが彼をかぎりなく悩ませる……
偏執狂の無意識は
(この言葉は鑑定人の受け売りだ)
毒への愛に狂わされ、
薬局方を使ううちに道を誤り、
調合に没頭するやいなや
ベラドンナを、
ストリキニーネを、ダチュラを、
このうえなく無害な薬に加えたくなる……
恥を知れ、危険なアルキメデスよ、
おのれの務めを裏切り、殺すであろう者よ
ユーグ・ドロルム
解説
1926年秋に貯蓄が国庫証券へ戻った理由
ロミエがこの論説を書いたのは、レイモン・ポワンカレが公債の安定を明確な目標に掲げて1926年7月に政権に就いてから、3か月余りたった時期である。ガストン・ドゥメルグ大統領はポワンカレに挙国一致内閣の組織を求めた。エロドト誌の記述によれば、実業界と貯蓄者の信頼はただちに戻った。ロミエが挙げる国庫証券は、フランスが大戦中に積み上げた短期債務に属するものである。国防債券は銀行にも一般の人々にもいつでも自由に売り出されており、1926年7月にはおよそ450億フランに達していた。ポワンカレ政府は1926年8月に減債基金として独立償却金庫を設け、これらの証券の処理に当たらせた。エロドト誌によれば、この金庫は特定の税の収入を集め、それを国の債務の返済に充てる役目を負っていた。エロドト誌は、これによって貯蓄者は元手を取り戻せると保証されたと記している。この保証は、ロミエが描く、旧来の貯蓄が証券へ戻る流れに直接かかわっている。
国庫証券とフランス銀行前貸しのその後
国が大戦中に使ったもう一つの手段はフランス銀行の前貸しであり、これはフランス銀行が国庫のために開いた信用枠で、上限額を議会が議決していた。オーレリアン・エスピックの研究によれば、この前貸しは1927年に一部が返済され、1928年6月24日の通貨法によっても返済された。同じ研究は、国防債券の流通額が1926年12月の490億フランから1928年6月の330億フランへ減ったと示している。1926年7月の約450億フランと比べると12月の額は大きく、この数字はその秋に旧来の貯蓄が証券へ戻っていたというロミエの観察と合っている。流通額が減ったのはその後のことである。エスピックによれば、証券の回収はロミエの二つの見通しのどちらにもない結果も生んだ。パリの大銀行は資金繰りをこれらの証券に頼っていたため、回収によって業務を乱された。
ロミエが恐れたインフレは戻ったのか
ロミエの論説の後の数か月は、ロミエが描いたインフレの筋書きとは違う方向に進んだ。エロドト誌によれば、税収は増え、消費者物価はフランの価値の回復もあって下がる傾向を示した。フランス政府はその後この安定を法の形で確定し、1928年6月25日にフランをその価値の5分の4切り下げた。エロドト誌は一般向けの概説であり、物価の統計を示していないので、ロミエの第一の見通しどおり1927年春に商業の停滞が起きたかどうかはこの資料からは確かめられない。それでもこの資料は、インフレへの逆戻りという第二の見通しをフランスがたどらなかったことを示している。
ストライキ中の炭鉱家族を支えた救済
ダラム州の小さな炭鉱町バートリーに移り住んだ人物の回想記は、モーロワが外から眺めたロックアウトのあいだ、炭鉱の家族がどう暮らしたかを記録している。回想記の筆者によれば、全国規模の炭鉱夫救済基金は大きかったが、救うべき困窮の大きさにはとても及ばなかった。各地の救貧委員会は保健大臣の管理下にあり、保健大臣は働くことのできる男性への救済を、独身か既婚かを問わずすべて打ち切るよう命じた。チェスター・ル・ストリートの救貧委員会がこの命令を拒むと、保守党政府は選挙で選ばれた委員を解任し、高給の監督官3人を据えた。それ以後、救済は妻に週8シリング、子ども1人に週1シリングだけになった。この回想記はノーサンバーランドではなくダラム州を扱っているが、同じロックアウトと同じ救済の仕組みを描いている。
炭鉱地帯の静けさと争議の結末
モーロワは警官も行進も見なかったが、ダラムの回想記は隣の炭鉱地帯でもっと厳しい秋が続いたと記している。労働党議員G・A・スペンサーが率いるノッティンガムシャーの炭鉱夫組合が連盟を離れて仕事に戻ると、遠くの州から集めた大柄な巡査たちがダラムに大量に送り込まれた。12月には炭鉱夫の全国投票が職場復帰を支持したが、ダラムは大差でストライキの継続を選んだ。モーロワの書く深い静けさは、ある場所のある時点を写した場面である。大陸通貨の下落を原因とする技師の説明も、コラムの中の話し手の見方であり、争議の原因を確定した説明として扱うことはできない。
原文
Les deux courants
De sorte qu'il existe, à l'heure actuelle, dans l'économie nationale, deux courants tout à fait contraires. Le premier courant coïncide avec le retour de la vieille épargne vers les Bons du Trésor, considérés comme un placement avantageux à cause de leur immunité fiscale. Le deuxième courant, en sens inverse, entraîne dans la circulation un nombre croissant de billets du fait de la hausse des prix. Ces deux courants, qui sont à l'heure actuelle équilibrés, nous donnent la tranquillité, en se neutralisant. Mais, de toute évidence, cet équilibre est passager. L'un ou l'autre l'emportera. Si c'est le courant d'épargne, nous subirons une crise commerciale au printemps. Si c'est le courant d'activité et de hausse des prix, nous retomberons dans l'inflation [?]
SUITE CHARBONNIÈRE
Northumberland. Décor de Béthune ou de Lens, corrigé par Constable. A l'horizon, les Signes du Charbon, triangles noirs que surmonte une roue, cheminées, collines artificielles aux pentes trop raides, au sommet plat; mais au premier plan une rivière charmante, que des grands bœufs traversent à gué, coule entre des arbres jaunissants. Les cheminées ne fument pas; les mineurs sont en grève. Grand calme. Pas de police; pas de cortèges. Seuls les terrains de football, innombrables, sont couverts de joueurs, entourés de spectateurs. L'INGÉNIEUR. Les causes, monsieur? Elles sont complexes. La chute des monnaies continentales a créé un décalage énorme entre nos salaires et ceux des autres pays. Notre charbon coûte trop cher à extraire.
IDEES FIXES
Tel sous une aurore vermeille L'orage guette les sommets, Un sournois Borgia sommeille Dans le cœur de Monsieur Homais. Près du bocal aux clartés mauves Lorsqu'il malaxe ses guimauves Ou tripatouille un liniment, La sombre obsession le hante D'accomplir une œuvre méchante; Et ça le trouble infiniment... L'inconscient paranoïaque (Ce terme est un écho d'expert) Que l'amour des poisons détraque Et que l'emploi du codex perd, Dès qu'aux mélanges il s'adonne Voudrait joindre la belladone, La strychnine, le datura, Au plus inoffensif remède... Honte au dangereux Archimède Qui, traître à son mandat, tuera