London Evening Advertiser
- ゲリラ戦が勃発
- アスキス卿の決断にも政界の水面は静か
- 州側証人、飼っていた動物を殺されたと訴え
オンタリオ州ロンドンの夕刊紙のこの紙面は、英国と米国からの通信記事を載せた。ニューヨーク・ヘラルドのロンドン特電は、南ウェールズのポート・タルボット近郊のグリンシマー炭鉱で、700人のストライキ参加者が少数の就労者を止めようとして警官隊に山の上へ押し返されたと伝えた。この乱闘では警官12人、炭鉱労働者30人、女性3人が重傷を負い、女性たちも抵抗に加わった。別の見出しはアスキス卿の決断にも英国政界は平穏だと報じたが、その下で読める本文は密造酒業者の抗争とキンカーディンのホテル火災の記事だった。ニュージャージー州サマービル発の記事は、ホール=ミルズ殺人事件の州側証人で「豚の女」と呼ばれたジェーン・ギブソンが、豚73頭と鶏の半数を毒殺され、銀行にも融資を断られたと訴えたことを報じた。
この版は、損傷の大きいOCR文字列から取った3本の抜粋を読んだものである。アスキスの見出しの下に載る本文は、隣接する密造酒業者の抗争とキンカーディンのホテル火災の記事に属しており、アスキスの記事本文そのものは判読できない。ポート・タルボットの記事は単語の途中から始まり、ギブソンの記事は文の途中で切れている。宝石盗難、メキシコ議会での乱闘、ロンドンの日刊紙、国外追放を扱う他の記事は画像の端で切れており、翻訳の対象に含めていない。
翻訳
ゲリラ戦が勃発
……死傷者——警官12人が負傷。ニューヨーク・ヘラルド特電。ロンドン発、10月16日——南ウェールズのポート・タルボット近郊にあるグリンシマー炭鉱が昨日、ストライキ参加者700人に襲撃され、そこから発展した乱闘で警官12人、炭鉱労働者30人、女性3人が重傷を負った。ストライキ参加者らは、少数のスト不参加者が作業を続けるのを阻止しようとしていた。男たちがようやく引き下がったのは、巡査隊が断固とした突撃をかけ、彼らを山の上へと押し返したときだった。その間、ストライキ参加者は頑強に抵抗し、女性たちもその抵抗に加わった。
アスキス卿の決断にも政界の水面は静か
……市内での競争に終止符を打つための集中的な攻勢。警察は密造酒業者どうしの私的な抗争には関心を持っておらず、これは強い者が生き残り、再び密造酒商売の独占を握るための戦いという様相を呈している。ホテル火災で宿泊客が騒然 キンカーディンのクイーンズで出火、……に発生
州側証人、飼っていた動物を殺されたと訴え
ホール=ミルズ事件の検察側協力者、迫害されていると苦情。ニュージャージー州サマービル発、10月16日——ホール=ミルズ殺人事件で検察側の州証人を務めるジェーン・ギブソン夫人は、飼っている豚のうち73頭と鶏の半数が毒殺されたと警察に訴えた。夫人はまた、銀行が自分に金を貸してくれないとも述べた。おそらく、公判を待つ4人の被告のうち何人かを彼女が告発したことが原因とみられる。「豚の女」の話では、銀行の敵意のせいで、彼女は……を売らなければならなくなった
解説
ポート・タルボットの衝突と1926年の炭鉱ロックアウト
グリンシマー炭鉱での衝突は、1926年5月1日に始まった炭鉱労働者のロックアウトから約半年後に起きた出来事である。このロックアウトがきっかけとなって、英国ではゼネストが宣言された。ゼネストの後も炭鉱労働者だけが争議を続けた。炭鉱主側は7月5日に1日8時間労働を前提とする新しい雇用条件を掲示し、8月19日の会合では無条件降伏しか受け入れないと明言した。10月に入ると、ウェールズでは多くの炭鉱労働者が職場に戻り始めた。記事が伝える、700人のストライキ参加者が「少数のスト不参加者」の就労を止めようとした衝突は、こうした状況の中で起きたものである。南ウェールズ炭田では、この年の労働争議の間に警察と炭鉱労働者が18回衝突した。女性も各地の衝突に加わっており、同じ10月にはエディス・カートライトがヨークシャーのハットフィールド炭鉱で石を投げたとされて禁錮刑を受けた。炭鉱労働者の抵抗は結果を変えなかった。炭鉱労働者は11月27日から30日にかけて、賃金の切り下げと労働時間の延長を受け入れて職場に戻った。記事にある負傷者数はニューヨーク・ヘラルドの特電が伝えた数字であり、ここで挙げた資料はその数字を裏づけていない。
アスキスが自由党党首を辞めた理由
見出しの「アスキス卿」は、当時オックスフォード・アンド・アスキス伯爵となっていたハーバート・ヘンリー・アスキスである。『ジャーナル・オブ・リベラル・ヒストリー』は、アスキスが自由党党首を辞任した日を1926年10月15日としている。同誌は、辞任に至る経緯が苦痛に満ち、長引いたものだったと記している。5月のゼネストをめぐって、アスキスとロイド・ジョージは公然と対立した。その後アスキスは脳卒中を起こし、3か月にわたって活動できなくなった。アスキスが不在の間に、ロイド・ジョージは全国自由党連盟の会合に出席し、熱狂的な歓迎を受けた。アスキスは妻への手紙に、選べる道は二つしかないと書いた。一つは資金力をすべて握るロイド・ジョージを相手に「卑しい派閥争い」を率いる道であり、もう一つはロイド・ジョージの金を受け取って「空疎で屈辱的な同盟」を取り繕う道である。アスキスはどちらも選ばないと決め、イングランドとスコットランドの自由党連盟の指導者に宛てた短い手紙で辞任を表明した。党首の座はロイド・ジョージに移り、ロイド・ジョージは自由党を率いる初めてのウェールズ人となった。ウェールズ史の年表はこの交代を10月14日としている。政界が「平穏」だという見出しの評価は新聞自身の判断である。歴史の記録は、この辞任が長く深刻な党内対立の末に起きたことを示している。
検察側の証人「豚の女」ジェーン・ギブソン
ジェーン・ギブソンは、ホール=ミルズ事件で検察側の最重要証人となった人物である。ギブソンは、1922年に被害者2人の遺体が見つかった土地で豚を飼う農婦であり、新聞は豚を育てていることから彼女を「豚の女」と呼んだ。この苦情を伝えた記事は、1926年11月3日にサマービルのサマセット郡裁判所で公判が始まる2週間余り前に出たものである。記事のいう「4人の被告」は、未亡人フランシス・スティーブンス・ホール、その兄ウィリーとヘンリーのスティーブンス兄弟、そしていとこのヘンリー・カーペンダーである。カーペンダーは後に他の3人と分けて審理されることが認められ、結局一度も裁判にかけられなかった。法廷では弁護側がギブソンを無学で「頭がおかしい」人物として描き、彼女の信用を落とそうとした。ギブソンの証言は、警察に話した内容、新聞に語った内容、法廷で述べた内容の間で食い違っていた。ギブソンは癌で死に瀕しており、担架で法廷に運び込まれて証言した。陪審はギブソンよりもホール夫人の証言を信じ、審理を受けた3人の被告は1926年12月3日に全員無罪となった。豚の毒殺や銀行の融資拒否は、新聞が伝えたギブソン本人の訴えである。
タブロイド紙が4年前の殺人事件を再燃させた経緯
ホール=ミルズ殺人事件は4年間未解決のままだった。1922年の最初の捜査では、だれも起訴されなかった。1926年、ウィリアム・ランドルフ・ハーストが創刊して間もないタブロイド紙ニューヨーク・デイリー・ミラーは、部数を伸ばすために事件の新しい証拠を持ち出した。デイリー・ミラーが強い調子で対応を求め続けた結果、ニュージャージー州知事は事件の再捜査に乗り出した。その後、ホール夫人と兄2人が殺人容疑で逮捕された。この報道合戦があったため、農婦が豚の毒殺を訴えたという話がカナダの夕刊紙にまで電報で届いたのである。公判が始まると、数百人の記者がサマービルの裁判所に詰めかけ、1200万語を超える記事を送った。今回の短い記事は、検察側の主要証人自身が報道の題材となった、公判前の報道の流れに属している。
原文
Guerilla Warfare Breaks Out
ualties-Dozen Policemen Are Hurt. New York Herald Special. London, Oct. 16. - A dozen policemen, 30 miners, and three women were seriously injured in a fight growing out of an attack yesterday upon the Glyncymmer collier, near Port Talbot, South Wales, by 700 strikers. The srikers were attempting to prevent a few non-strikers from continuing work. The men oniy gave way when the constables made a determined charge against them and drove them back up the mountain during which the strikers made a stubborn resistance in which women took part.
Political Waters Undisturbed By Decision of Lord Asquith
intensive campaign to end competition in the city. Police are not interested in the bootleggers ' private feuds, and it has the appearance of being a battle in which the fit will survive and exercise once more a monopoly in the bootlegging business. GUESTS DISTURBED BY BLAZE IN HOTEL Outbreak at Queen's in Kincardine Occurs at
STATE WITNESS SAYS HER ANIMALS KILLED
Prosecution's Aid in Hall-Mills Case Complains She Is Persecuted. Somerville, N. J., Oct. 16. - Mrs. Jane Gibson, state witness for the prosecution in the Hall-Mills murder case, has complained to police that 73 of her pigs and half of her chickens have been poisoned. She also declared the banks refuse to lend her money, presumably because of her accusations against some of the four defendants now awaiting trial. As a result of the bank's hostility, the " pig woman " said, she had to sell
紙面の出典:所蔵機関のデジタル資料